「鉄道趣味は病気」 こう思った過去

こんにちは ユウジです。

皆さんは、鉄道が好きな方を見てどう思われますか?

 

「気持ち悪い」

「障碍者の集まりだ」

「頭の弱い連中だ」

「違法行為ばかり繰り返す社会のクズ連中だ」

「大人になっても精神が幼い連中だ」

読者の方で、このように思われる方も少なからずいらっしゃるでしょう。

 

上記にあげた鉄道趣味を持つ人への嫌悪感情は全て過去に私が抱いていたことです。2,3年前まではこのように見下していました。 違法行為に関しては一部の人々ではありますが、所謂撮り鉄と呼ばれる人々が列車撮影のために線路内に侵入するなどといったことや、鉄道車両から行き先を示す機器などを窃盗するなどといったことが横行しており社会問題であります。一部にそのような人々が存在するということで鉄道趣味へのイメージがあまりよくないということが現状です。しかし、だからと言って鉄道趣味の全ての人々を一纏めに見下すことはよくありません。

 

「大人になっても精神が幼い連中だ」というのは、ラストランなどの際に駅のホームに集まって列車に対して「ありがと〜!」などと叫ぶ人々が多いということを冷ややかな目で見て思っていたことです。これは鉄道趣味の全ての人には当てはまりませんが、割と多いように思います。これには今でも異質だと感じています。

 

上の三つに関しては、完全に差別と言えます。今では反省しています。

障碍者、頭が弱いといった言葉に関しては、インターネットの掲示板やTwitterなどで散見される捉え方ですが、私もそれを見て賛同していました。インターネット上では障碍者を「ガイジ」という蔑称にして書き込みが行われていたりします。近年では、このような言葉がネットに留まらずに公共の場や学校などでも広がっていたりします。「あいつガイジだから...」という風にいじめや差別にも結構使われています。

 

インターネットはバーチャル(仮想的)な空間であり、現実社会とは別物だという考え方はもはや正確だとは言えません。バーチャルを仮想と訳されたことで多くの誤解が生まれたと思います。英語圏では、IT関連のバーチャルは「実質的な」というニュアンスで使われています。今後は暗号資産と呼ばれるようになる仮想通貨に関しても、「実質的な」という意味で捉えると本質が見えてくると個人的に思っています。

レールに戻りますが、インターネットは「実質的な」空間であり現実世界とほとんど変わりありません。旧来のメディアが衰退し、インターネットメディアが進展してきている現代社会では「インターネットはリアルではない離れた社会だ」という捉え方に整合性がほとんどありません。

 

私自身、鉄道への関心は幼少期から強くあります。

そんななか、2,3年前まで多くの人々から侮蔑される状況に恐怖を感じていました。私自身は自閉症をはじめとした発達障害が認められていませんが、鉄道趣味界にはそのような人が比較的多く存在します。ADHDやアスペルガー症候群といった類の発達障害を皆さんは一度は聞いたり見たりしたことがあるでしょう。そのような発達障害を抱える人々に鉄道は関心の中心になりやすいといわれています。

このような発達障害では規則的な動きを好む傾向があり、それに見事合致する身近なシステムが鉄道になります。鉄道ほど規則的な動きをするシステムはなかなかないと思います。他の乗り物は自ら自在に進路をとることができますが、レール上を走る鉄道にはそれができません。同じ動きを続けるという安心感が発達障碍者にとって大きな魅力になるのでしょう。

 

列車の運転席後ろにはジーッと見つめている人が見られることが多くありますが、そのなかには「あぁ〜」や「ヴァァ」といった言葉ではないことを断続的に発する人や、独り言をずっと発する人を割と頻繁に目にします。付き添いの親御さんや発達支援を行う人がそのような人の横についていることもあります。

「自分はあんな発達障害ではない。あんなのと一緒にされるのは御免だ」という良くない感情が働いていました。「少しでもそのように周りから思われるのは怖い」という感情から、私自身も発達障碍者を差別していました。

そして、鉄道 × 発達障害 という見方をするようになり、鉄道というものに忌避的に見るようになっていました。

 

「鉄道が好きな奴は病気だ」という風に考え、それを鉄道への興味が少ない周りに発したところ割と好意的に受け取られることがありました。結構賛同する声がありました。不寛容側の人々に取り入ることに、そういう障害かもしれないと思われることの恐怖から解放される安心感が私にはありました。

 

私は、多様性を尊重して差別をしないことを10年くらい前から考えてきました。私自身、民族や宗教、性的マイノリティへの差別は全くありませんでしたが、唯一差別をしたのがこの発達障碍者に対してです。彼(女)らに直接言葉を浴びせたことはありませんが、間接的にはしていました。

多くの多様性について尊重してきたなかで、発達障碍者に対しては尊重しないという大きな矛盾が2,3年前まではありました。発達障害への理解をするようになったのはまだ最近のことです。

 

このように私が変わったきっかけは、鉄道YouTuberのスーツさんです。

スーツさんとは

スーツさんは、横浜国立大学の学生でありながら、 YouTuber として活躍されています。 主に鉄道や旅についての動画を投稿されています。また、ある社会事象について取り上げて自ら見解を述べるような動画や、エンターテインメント性の高いコメディー動画も投稿されています。YouTubeチャンネルは以下の3つあります。

彼が鉄道趣味界では珍しくユーモアがあり、話も面白いことから惹き込まれました。それと同時に私の抱く鉄道へのイメージも回復しました。忌避的な見方が無くなっていきました。

彼は、初期の動画では不十分な点が見られるものの基本的には配慮に富んだ発言をされています。言葉遣いが丁寧であり、特定のマイノリティへの差別的発言は見られません。社会に対して物申すような動画もありますが失言は殆どありません。思想的には偏りが見られるものの多様性の面では良く配慮されていると感じるものです。

彼はこのような動画も公開されています。彼自身はADHDなのかどうかはハッキリと分かっている訳ではないようですが、発達障害について配慮しながら話されています。

 

彼の影響で、今では鉄道への忌避感がなくなりフラットに捉えることができるようになりました。忌避的に見ていた期間に鉄道以外のことへ重点が移ったため、今では過去ほどは強い関心はありません。また、その間に経営合理化が進んでいったため魅力もかなり落ちました。

趣味趣向が複数化したことによって、交流する方が増えたことは私にとって大きな実となりました。鉄道、音楽、地形、歴史、料理など多くの趣味を持っている芸能人のタモリさんを私は尊敬しています。タモリさんを少し意識して趣味を増やしました。

しかし、多趣味化の過程で、発達障碍者を侮蔑していたということについては変えられない過去であります。この点は深く反省し、二度と同様のことが起きないようにしたいと思っています。

 

ここまでお読みくださった皆様は発達障碍者の人々に対して、差別発言、差別的思考をしないようにお願いします。恐怖から逃れるための差別は、民族差別など他の対象のマイノリティでもよく起きることです。皆様ご注意ください。

この本を読んでこの記事を書くことを決意しました。

『自閉症スペクトラムとは何か』先住 淳, ちくま新書

 

 

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